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下宿屋 / 加川良

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大学の頃はクラブ活動、ジャズ喫茶通い、アルバイトなどに明け暮れていました。
子供の頃から飛行機が好きで、その後アルファロメオに出会ったこともあってメカニカルなものに惹かれていきました。
選んだ学校は理工系の大学で、実験のレポートは100枚綴りのA4レポート用紙が10日ほどでなくなるほどのハードスケジュール。
そういえば電子計算機(パソコンと云う言葉はまだありませんでした)のプログラミングはFortran(フォートラン)でしたね。
穿孔パンチでカードにプログラミングをパンチングして読み取らせるというもの。
空気力学のシュミレーションでは前提を様々に変えて翼型の特性などの理論解析を行なったりするのですが、それはさすがに手計算では不可能です。
まる一週間ほど掛けてパンチングした(プログラミングした)分厚いカードをセットして、そのまま帰り翌日テープに起こすのですが、プログラムミスで読み取りが止まっていたことを発見した時などは・・・・・



大学の同級生にM君という、優秀な友人がいました。
彼は北海道から出てきてキャンバス近くのボロボロのアパートに住んでいました。
アパートとはいえ、元々は近くにあった大きな会社の独身寮を改装した木造2階建て。
恐らく昭和40年代前半に作られたものだと思いました。というのも、私達が学生時代だったのは昭和50年からで、そのころすでにその企業は撤退していていたからです。
夜な夜な彼の部屋にみんなで乗り込んで、それはもう馬鹿騒ぎをしたものでした。

深夜放送を聴き始めたのは中学生の頃、拓郎のパックインミュージックなど懐かしいです。
どこで聞いたのかはもう覚えていませんが、加川良の「下宿屋」を聞いたのは恐らく中学から高校生の頃だったと思います。
そしてM君のアパートにその面影を見たような気がしたんです。


(良い音源がYoutubeになかったので自らアップしちゃいました。音源はURC CD Collection Vo.2からです)

中庭に落ちていた雨樋を部屋に持ち込み、流し台からベランダへ渡してやった「流しそうめん」
畳と万年床がびしょぬれになって、やっている最中もその後の片付けも大騒動。
部屋に風呂はなく、廊下の先には共同浴室がありました。トイレは共同トイレで。
その頃には12室ほど有ったそのアパートには、別な学科の同輩が一人いただけでした。
どうやらO君とその彼が最後の入居者で、彼らが卒業した後には取り壊されることになっていたようです。

阿佐ヶ谷に住む一つ上のOさんは、優しい雰囲気のお兄さんでした。
友部正人の一本道には「ボクは今、阿佐ヶ谷の駅に立ち・・・」というフレーズがあるのですが、Oさんは自分の住む街の出てくるその歌がお気に入りで、よくその歌を私にリクエストしてくれて、私は下手なギターでそのリクエストに応えたものでした。



青春の一コマ、などというほど感傷的なものではありませんが、大人に憧れて雑音だらけのAM放送に耳を傾けて、テレビでは決して流れなかった関西フォークを聞くことがあの頃の私にとっては胸躍るひとときでした。
それでもこの歌を聞くと純粋なM君や柔らかな優しい面影のOさんを思い出します。
そうそう、青梅から通っていたH君にはその後20年近く経ってからひょんな事で出会いました。
みんなどうしているんだろう。
加川良の歌う、この歌とは社会環境が違っていた私(達)でしたので、それ程思いつめたような生活ではなく脳天気な毎日でした。
けれどこの1フレーズだけは強烈にその頃の私の胸に響いたんです。

僕が歩こうとする道にはいつも 彼の影が映ってたみたいです
   小さな影でしたが 誰だってその中に入りこめたんです


いつだって僕らは腹をすかせていたし、懐具合は淋しい限りだった。
アルバイトをしては互いにラーメンを奢ってあげたり、時にはそのアパートに出前など頼んだりして「豪勢だねぇ」などと笑いあったものです。

卒業するまでの間、何度彼のアパートへ行ったことだろう。
十数年してふと思い出し、車に乗っておぼろげな記憶を頼りに見つけた彼のアパートはバブルの洗礼を受けたのか、立派なマンションに変わっていました。

そういえば私もずいぶん変わっちゃったのかもしれない。
あの頃の無垢な気持ちはずいぶん荒んで、世渡りはうまくなったかもしれないが、罰当たりなことばかりが記憶の中で澱のように沈んでる。

僕はだれかの 笑い顔が見られることより
   うつむきかげんの彼を 見つけたかったんです


青臭くて向こう見ずだったけど、感情豊かだったあの頃が懐かしい。 また明日(^.^)/~~~



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