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アルファロメオの登場する短編Season4-1

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さぁさぁ酷暑の夏も終わり、芸術の秋がやって来ます。
芸術など柄にもありませんが、性懲りもなくまたアルファにちなんだ短編を・・・暫しお付き合い下さいませ~

1.出会い


麻衣は急いでいた。
受験するのは今年が初めてだったが浪人は許されない。
自分にはつまらない職場だったが、一年以上準備出来たのは今の仕事があったからだった。
実家の父母に頼るわけには行かず、今の仕事の給与では大した貯金も出来ないからなんとしても仕事を続けながら勉強をする必要があった。

麻衣が目指すのは資格試験。公認会計士だった。
それほど有名な大学でもない私学短大に入学し、それなりに楽しいキャンパスライフを過ごしては来たが、社会に出てみて自らのライフプランについての未熟さに気がつき始めていた。
公認会計士は実は「何をやりたいか」で潰しの効く専門職だ。
そのことも社会に出てみて初めて知った。

この狂ったように暑い8月のお盆の時期に3日続けて論文形式の試験がある。
2年ぶりにリクルートスーツなどを引っ張りだしてはみたが、とても暑くて上着など着ては行けなかった。

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地下鉄の改札を過ぎて地上へと出る。
灼熱の、と呼ぶべき真夏の日差しが麻衣の頭上に降り注ぐ。
直ぐそばにある交差点の横断歩道を渡れば試験会場のビルは目と鼻の先、バッグからハンカチを取り出して額を押さえる。ファンデーションが崩れないようにそっと。

信号が変わり歩き出そうとしたその瞬間、右から走ってきた車がゆるゆると停止線で停まった。
何気なく、本当に見るともなくその車を見ると、その車はこれまで麻衣がみたことの無い変わった形の車だった。

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「素敵な色。赤い車ってあまり好きじゃないけど、この赤はちょっと良いわね。ボディのデザインも無駄がなくて、ギュっとした凝縮したような、力が漲っているような見せ方が良いわね」

麻衣は車好きの父の影響で車が大好きだった。言うまでもなく今の彼女にとって自動車を所有するなんて云うのは贅沢の極みだと自分でも分かっていたので、なんとかしてこの試験に受かり、自分の車を手に入れることも何番目かの目的だった。

「さあ今日から3日間、これが私の正念場。失敗したらまた一年あの退屈な会社の経理を続けなくちゃならない。自分の道は自分で切り拓く。。。いいわね麻衣、回り道している場合じゃないからね」

麻衣は自分にそう言い聞かせ、その変わった形の車「AlfaRomeo Sud Ti」から視線を前に遣り、試験会場のあるビルの入り口を睨むように見つめながら歩いて行った。


信号が変わりその赤いスッドは弾けるように飛び出した。昼前の焼けつくような日差しがボディカラーの赤に溶け、陽炎の立ち上るアスファルトに混ざり合うように見えた。

******************************************

はい。今夜はここまで。一応4話で終わる予定で~す。

車好きの麻衣の試験はうまくいくのでしょうか。そしてスッドとの再会はあるのでしょうか・・・
今回は女性が主人公。うまく行きますかしらね~ また明日(^.^)/~~~



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以前アップしたアルファを題材にした読み物も、ご興味あればぜひご覧くださいませ。
第一作:1話2話3話4話5話6話ネタばらし(^O^)
第二作:1話2話3話4話
第三作:1話2話3話4話5話
第四作:1話2話3話4話
第五作:1話2話3話4話5話
第六作:1話2話3話4話
一話読み切り:ショート・ショート


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